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バタフライナイフ

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2012/11/24 (Sat)

2012-11-24 05:45

愛犬が 息絶えた。
17歳5ヶ月 大往生だった。

もともと外飼いの犬だったけれど 半年ほど前から おうちのなかに入れていた。
脚の腫瘍を じぶんで齧ってしまって 血だらけになってしまうのだった。
エリザベスカラーのようなものをつけたり 靴下の先っちょを切ったものを履かせてみたり
さまざまに知恵を絞ってガードするのだけれど たびたび血だらけになっていた。
齧ったら 腫瘍が取れるとおもっているようすだった。

次第に 腫瘍は ひらたくおおきくなって 増えていった。
脚の外側だけにあったものが 内側にも ひとつふたつ。
脚以外の場所にも ちいさなできものが ちらほら。 

それでも 11月15日までは よく食べよく眠り
もう1匹の犬を追いかけまわしてあそんだり 元気に過ごしていた。

11月15日 てんかんみたいな発作。
ひとつきにいちどくらいの頻度で 発作を起こしていて
いままでは わりあいすぐに けろり回復していたのだったけれど
今回は うまいこと回復せずに 徐々に食欲が落ちていった。
それまで かりかりしたフードを かりかり食べていたのに
かりかりなんて しらんぷり。
缶詰とか おやつとか おいしいところだけ すこし。
そのうち 缶詰も おやつも 食べなくなって
クリームチーズとか 牛肉とか スペシャルてづくりごはんとか
あれこれいろいろ試して たちまちそれらも一切拒否するようになって・・・

2年前に愛犬を亡くしたとき 強制給餌が いっとう辛かった。
流動食をこしらえて シリンジで口に流し込みながら ぽろぽろ涙が零れた。
強制給餌は もう したくなかった。
たべることを拒否する犬に 無理矢理たべさせるということは ほんとうに辛い。
でも スポーツドリンクだけは どうにか与えてみた。
シリンジで すこしずつ 口のなかへ。
あんまり口を動かしてくれなくて 口の端から零れて やっぱり哀しかった。
死にちかづいた犬は たべることも 飲むことも やめてしまう。

さいごの夜は 痛がって 掠れた声で鳴いていた。
日付が11月24日に変わった深夜 あんまり痛がって鳴くので
撫ぜてやろうとおもって手を伸ばしたら その手を がぶり齧られた。
歯をくいしばって なかなか離してくれなかった。
わたしの手には 犬歯のかたちの穴があいて じわり血がでてきた。
傍にあった毛布やバスタオルにも齧りついていたから よほど痛かったんだろう。
すぐさま消毒して 絆創膏貼って じんわりした痛みをおぼえつつ ついうとうと。
ふと目覚めた早朝 ただならぬ気配をかんじる。
犬の息遣いのようすから いよいよ最期のときなのだと ぴんときた。
抱きかかえ 撫ぜてやりながら なまえを呼んだ。

わたしの腕のなかで しずかに 息をひきとった。
さいごの瞬間に ふしぎなことにぱちり目が覚めて まにあってよかった。

2年前にもお世話になった ペット霊園宇都宮 というところで 火葬してもらった。
お骨をひろうとき 骨の説明をしてくださるのだったが
わたしを齧った犬歯は きれいなかたちでのこっていた。
骨壷の うえのほうに 納めた。

2年前に愛犬を亡くしたとき 獣医さんに通いつめて
投薬やら 注射やら 強制排尿やら 皮下補液やら
さまざまなことを試みて さいごの瞬間は 獣医さんの待合室で迎えたのだった。

今回は あんまり獣医さんのお世話にはならず
なるたけ自然にまかせて さいごの瞬間は おうちで迎えることができたのだけれど
痛い思いをさせてしまって かわいそうだった。

どちらがよかったとかわるかったというはなしではないのだけれど
犬を看取るということは どんなに最善とおもわれる手を尽くしたとしても
『ああすればよかった』『こうすればよかった』というきもちが
うかんできてしまうものなのだなあと しみじみ。

17歳5ヶ月で息絶えた犬は むかし狂犬病予防接種のとき
こわがって暴れてとびあがって わたしの頬を齧ったことがあった。

わたしの手に齧りついたのは じつにあの子らしい最期だった。

(2012-12-02 記)

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